「早くして」「ほら、頑張って」。背中を押したつもりの一言で、子どもがかえって固まってしまう。引っ込み思案な子、慎重な子の保護者の方から、とてもよく聞くお悩みです。
成績UPラボの塾長として、教育の現場で20年、たくさんの子どもを見てきました。そこで感じるのは、慎重な子ほど、急かされるとますます動けなくなるということ。そして、関わり方を少し変えるだけで、驚くほど表情が変わるということです。この記事では、研究で分かっていることと、塾で実際に効いた関わり方をまとめます。
引っ込み思案・慎重さは「性格の欠点」ではなく「気質」
子どもの気質を長い年月をかけて追いかけた研究(ニューヨーク縦断研究)では、新しい人や場面に慣れるのに時間がかかる子がいることが分かっています。こうした子には、新しい場面の前に予告しておくと良いとされています。
動き出しが遅いのは「やる気がない」からではなく、「安心してから動く」というその子のペースです。気質そのものを変えようとするより、安心できる材料を先に渡す方が、結果的に早く動き出せます。
なお、慎重に見える子の中には、関心が自分の内側に向きやすい子と、周りの音や人の気持ちなどの刺激を敏感に受け取る子がいます。後者の子は、知らないうちに疲れていることもあるので、休める時間や場所を用意してあげると安心します。
逆効果になりやすい声かけ
- 「早く答えて」「早くして」…急かされると考えがまとまらず、ますます言葉が出なくなります。
- 「みんなはもうできているよ」…比べられると焦りと不安が増えるだけで、何をすればいいかは伝わりません。
- 「ほら、頑張って!」「大丈夫だから行っておいで」…心の準備ができる前の真っすぐな励ましは、子どもにとってはプレッシャーになります。
- 「もっと積極的に」…気質そのものを変えるよう求める形になり、自信を失いやすくなります。
場面別:動き出しを支える、効きやすい一言
新しい単元・新学期・習い事の初日の前
「来週から新しい単元だよ。最初のページだけ一緒に見てみよう」
新しいことの前に、少しだけ中身を見せておく(予告と下見)と、当日の不安がぐっと減ります。場所や先生が変わるときも、事前に一度見に行くだけで違います。
授業で発表する・質問する
「ゆっくりでいいよ。考えがまとまったら教えて」
手を挙げないのは意欲がないからではなく、考えてから話したい慎重さの表れです。待ってもらえると分かるだけで、話し始めるまでの時間が短くなります。
「分からないところは、この紙に書いて置いておいてね」
人前で聞くのが負担な子には、人前で聞かなくていい質問の方法を用意します。
苦手なこと・初めてのことに挑戦する
「最初の1問だけ、一緒にやろう」
取りかかりの一歩を一緒に踏み出すと、2問目からはひとりで進められることがよくあります。発表会や面接のような本番がある場合は、家で何度か予行演習をして「慣れ」を作っておくと、当日落ち着いて臨めます。
塾での実例:中2の生徒が変わったきっかけ
成績UPラボに、口数が少なく、授業中もあまり表情が変わらない中学2年生の生徒がいました。テストの点数も、すぐに褒められるほどではありませんでした。
そこで私たちは、5教科の中から、点数にはまだ表れていないけれど、授業での取り組み方や間違え方、進むスピードが良い教科を探しました。そして、本人は意識していないけれど、成績を上げるうえで大事なポイントを見つけて、具体的に伝えました。
たとえば「この問題、途中まで式の立て方が合っているね。ここまで書けているのは、ちゃんと分かっている証拠だよ」というように、ノートや問題用紙に残っている小さな「できている証拠」を指さして伝えるのです。
しばらくすると、その生徒は話す量が増え、笑顔が増え、説明を聞きながらうなずく回数も増えていきました。慎重な子は、「自分はできている」という確かな証拠を見せてもらえると、安心して少しずつ外に出てこられるのだと感じた出来事です。
ポイントは、点数や結果ではなく、本人が気づいていない小さな良さを、具体的に伝えること。ぼんやりした「すごいね」では、慎重な子には届きにくいのです。
親も頑張りすぎなくて大丈夫
引っ込み思案な子を見ていると、「このままで大丈夫かな」と心配になり、つい他の子と比べてしまうこともあると思います。でも、慎重さは、よく観察し、じっくり考え、人の気持ちに気づける力の裏返しでもあります。
比べるなら、他の子ではなく少し前のその子自身と。「先月より、質問できる回数が増えたね」と変化に気づいてあげるだけで十分です。
同じ「慎重な子」でも、伸び方は4タイプ
慎重な子といっても、仲間と一緒だと力が出る子もいれば、ひとりで深く考えたい子もいます。私たちは、子どもの姿を「動き出し」「伸びる場」「続け方」の3つの軸で見て、8つの「光のキャラクター」に分けています。「まず様子を見る」子は、次の4タイプです。
タイプによって、効く声かけも少しずつ違います。それぞれのページで、つまずきやすい場面と声かけの例を紹介しています。
うちの子はどのタイプ? 3分で分かる無料診断
保護者の方が6つの質問に答えるだけで、お子さんがどの光のキャラクターに近いかが分かります。お名前は不要です。
詳しい診断に進むと、刺激の受け取りやすさ(感受性)まで含めた24タイプと、その子に合わせた声かけ・学習環境の整え方をまとめたレポートもご覧いただけます。
この記事を書いた人:成績UPラボ 塾長。教育業界20年。小集団の対面指導で、一人ひとりの気質に合わせた声かけと学習の進め方を実践しています。
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