テストで良い点を取ってきた子に、思わず「頭がいいね!」「さすがだね」と声をかけたくなります。でも実はこの褒め方、次につまずいたときの粘りを弱めてしまうことがあります。
この記事では、研究で分かっていることと、成績UPラボで毎回のテスト返却や面談で実践している褒め方を紹介します。
研究で分かった「能力を褒める」ことの落とし穴
アメリカの心理学者ミューラーとドゥエックは、小学5年生を対象にした6つの実験で、褒め方の違いを比べました(Mueller & Dweck, 1998)。
- 頭の良さを褒められた子は、そのあと難しい問題で失敗すると、粘りが続かず、楽しさも成績も下がりました。
- 取り組み(頑張り方)を褒められた子は、失敗のあとも粘り強く取り組めました。
「頭がいい」と褒められると、子どもは「失敗したら、頭が良くないと思われる」と感じやすくなります。だから、難しいことを避けるようになるのです。
逆効果になりやすい褒め方5つ
1. 才能や頭の良さを褒める
「天才だね」「センスあるね」は、子どもが自分では変えられないものへの評価です。うまくいかなかったときに「才能がないのかも」と考えやすくなります。
2. 結果だけを褒める
「90点すごいね」だけで終わると、点数が下がったときに頑張りの価値まで消えてしまいます。
3. 簡単すぎることを褒める
本人が楽にできたことを大げさに褒めると、「この程度で褒められるのは、期待されていないから?」と受け取る子もいます。
4. 他の子と比べて褒める
「〇〇くんに勝ったね」は一時的にやる気を高めますが、勝ち負けは毎回変わります。比べるなら、少し前のその子自身と比べます。
5. 褒めすぎる・大げさすぎる
塾で実感しているのは、褒めすぎると、褒め言葉の効き目が薄れるということです。テンションを上げすぎると、わざとらしく聞こえて逆効果になることもあります。好きで夢中になっていることを毎回褒め続けると、「褒められるためにやる」に変わってしまうこともあります。
伸びる褒め方:「小さな工夫」を具体的に
- ×「さすが、頭がいいね」 → ○「最後までやり切ったね。途中で〇〇を工夫したのがよかった」
- ×「すごいセンスだね」 → ○「どうやって思いついたの?」
- ×「〇〇くんより上だね」 → ○「先月より、計算ミスが減ったね」
「何がよかったのか」が具体的に伝わると、子どもは次も同じやり方を試せます。質問しながら褒めると、子ども自身が自分の工夫に気づくきっかけにもなります。
塾で実践している「点数ではなく問題用紙で褒める」方法
成績UPラボでは、テストを返すときや面談のとき、点数ではなく、問題用紙を一緒に見ます。
問題用紙には、その子が考えた跡がたくさん残っています。途中まで正しく立てた式、消して書き直した跡、問題文に引いた線。そうした書き込みを指さしながら、取り組む姿勢や、本来持っている実力があることを伝えます。
そのうえで、「この力があるのに、まだ点数に変えきれていないだけだね」と伝えます。点数が思うように取れなかった子にとっても、「自分には力がある。あとは点数に変える方法を覚えればいい」と前を向くきっかけになります。
褒めるときのテンションにもコツがあります。具体的で、すごく小さな部分の工夫を見つけて、少しオーバーだけれど心地よいくらいの温度で伝える。やりすぎるとわざとらしくなり、かえって届かなくなります。どのくらいがちょうどいいかは、子どもによって違います。
子どものタイプによって、届くひと言は違う
同じ「工夫を褒める」でも、子どもによって届きやすい言葉は少しずつ違います。塾で使っている8つの「光のキャラクター」から、いくつか例を紹介します。
周りを引っぱるたいまつタイプ
「最後までやり切ったね。途中で〇〇を工夫したのがよかった」
結果より、やり抜いた過程と工夫に光を当てます。
じっくり考える月タイプ
「ノートを見ると、よく考えているのが分かるよ」
目に見えにくい「考えている時間」を褒めると、安心して力を出せます。
仲間と伸びる灯台タイプ
「〇〇さんに教えてくれて、助かったよ」
人の役に立てたことが、いちばんの励みになるタイプです。
場を明るくする花火タイプ
「今日いちばん面白かった問題はどれ?」
楽しかったことから振り返ると、自然と学んだことを思い出す練習になります。
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この記事を書いた人:成績UPラボ 塾長。教育業界20年。テスト返却や面談では、点数ではなく問題用紙を見ながら、一人ひとりの取り組みを具体的に伝えています。
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