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小学生の学び・中学受験

スマートフォンは何でできている?砂・鉛筆・塩・磁石から学ぶ小学生の科学

公開日:2026年9月22日|執筆:吉敷(成績UPラボ代表・塾長)

スマートフォンは何でできている?砂・鉛筆・塩・磁石から学ぶ小学生の科学

先に結論

スマートフォンは、未来の材料だけでできているわけではありません。砂に多い石英、鉛筆にも使われる黒鉛、銅線、塩に関係するカリウム、磁石など、身近な物質の性質を組み合わせた小さな科学館です。

ただし、砂や鉛筆の芯をそのまま入れるのではありません。不純物を取り除き、薄くし、混ぜ方や形を細かく調整して、必要な働きを引き出しています。

身近なものとスマートフォンをつなぐ早見表

米国地質調査所(USGS)は、携帯端末の画面、電子回路、電池、スピーカーなどに、鉱物から取り出した材料が使われることを図解しています。機種によって材料や割合は異なりますが、まずは「どんな性質が必要か」で見ると理解しやすくなります。

身近な入口 スマホでの主な役割 役立つ性質 ここが大事
砂・水晶 画面のガラス、半導体のシリコン 透明なガラスを作れる/電気の流れを細かく制御できる 海岸の砂をそのまま使うのではなく、高純度に精製する
塩とカリウム 一部のカバーガラスの化学強化 表面に圧縮する力を残し、傷から割れが広がりにくくする 塩を画面に塗るのではなく、工場で高温の塩浴を使う例
鉛筆の黒い芯 電池の負極に使われる黒鉛 炭素が層になり、リチウムイオンを出入りさせられる 鉛筆芯と電池用黒鉛は同じ炭素に注目できるが、品質・加工は別物
銅線 基板の配線 電気を通しやすく、細い道を作れる 信号と電力を部品へ運ぶ「スマホの道路」
金のアクセサリー 一部の接点や回路 電気を通し、さびにくい 使う量はごく少ないが、接触の信頼性に役立つ
磁石 スピーカー、マイク、振動部品 触れずに力を及ぼせる コイルに流す電流を変えると、空気を揺らして音にできる
アルミ缶 筐体や内部部材の例 軽く、加工しやすく、再利用しやすい すべての機種が同じ外装材ではない
親子で最初に予想:「透明」「軽い」「電気を通す」「さびにくい」「磁石になる」のうち、スマホにはどの性質が必要でしょう。正解を当てるより、部品ごとに必要な性質が違うことへ気づくのが目的です。

スマートフォンの中は、役割の違う層が重なっている

スマホは一枚の板に見えますが、中では多くの層と部品が協力しています。薄く作れるのは、材料をただ小さくしたからではなく、別々の仕事をする材料を重ねたからです。

透明なスマートフォン用カバーガラスの教育用再現写真

① カバーガラス中を見せながら、指や落下の衝撃から守る

細い電極が格子状に並ぶ透明なタッチセンサーの教育用再現写真

② タッチ層指が近づいた場所の電気的な変化を見つける

赤緑青の小さな画素を拡大したディスプレイの教育用再現写真

③ ディスプレイ小さな点の明るさと色を変えて絵を作る

スマートフォンの基板と黒いプロセッサーチップの教育用再現写真

④ 基板とチップ計算し、信号を運び、部品へ命令する

スマートフォン用の平たいリチウムイオン電池の教育用再現写真

⑤ 電池化学エネルギーを電気として取り出す

カメラモジュールとスピーカーとアンテナ部品の教育用再現写真

⑥ カメラ・音・通信光、空気の振動、電波を電気信号と行き来させる

部品の形を理解するために作成した教育用再現画像です。特定機種の実物写真ではなく、実際の配置や形状は機種により異なります。

砂が「透明な窓」と「考える頭」の両方になる

仕事1

ガラスになる

砂や水晶に多く含まれる二酸化ケイ素は、ガラスの重要な原料です。画面には、光を通す透明さと、指で触れても形を保つ硬さの両方が必要です。

仕事2

半導体のシリコンになる

石英などから得るシリコンを非常にきれいに精製し、電気を通しやすくする場所と通しにくくする場所を作ります。それを何十億個もの小さなスイッチとして並べたものがチップです。

石英を含む原料シリコンを取り出す高純度にする小さな電気スイッチへ

面白いのは、同じケイ素に注目しても、酸素と結びついた透明なガラスと、電気を制御する半導体では仕事が違うことです。「何からできたか」だけでなく、「どんな状態に加工したか」が性能を決めます。

塩の仲間が、ガラスを強くすることがある

化学強化ガラスの一例では、ガラスを約400℃の溶融塩に入れ、表面近くの小さなナトリウムイオンを、より大きなカリウムイオンへ置き換えます。大きな粒が表面で押し合うような状態になり、表面に圧縮応力が残ります。

強化前
NaNa

小さいナトリウムイオン

強化後
KK

大きいカリウムイオンが表面を押し合う

表面を縮めようとする力は、ひびが開くのをじゃまする「見えないよろい」のように働きます。ただし、強化ガラスでも割れないわけではありません。角に強い衝撃が集中したり、深い傷ができたりすれば破損します。

画面は、指で触った場所をどう知るのか

多くのスマートフォンは静電容量式タッチパネルを使います。透明な電極が格子状に並び、画面の各場所がどれくらい電気をためやすいかを見張っています。水分を含む私たちの体は電気的な変化に関わるため、指が近づくと、その場所の静電容量が少し変わります。機械はその変化から位置を計算します。

① 透明な電極が見張る② 指が近づく③ 電気のたまり方が変わる④ 場所を座標で見つける
なぜ普通の手袋では反応しにくい?

布が指と電極の間を離し、変化が小さくなるからです。タッチ対応手袋には、指先に電気を伝えやすい材料が使われています。方式や画面設定によって反応は異なります。

鉛筆の「黒」と電池の黒鉛は親戚

鉛筆の芯には黒鉛と粘土などが使われます。リチウムイオン電池の負極にも、炭素原子が薄い層のように重なる黒鉛がよく使われます。充電するとリチウムイオンが黒鉛の層の間へ入り、使うときには反対側へ移ります。その移動と一緒に、外の回路を電子が流れてスマホを動かします。

鉛筆の黒鉛と層状の電池用黒鉛とスマートフォン用電池のつながりを示す教育用画像
左から、鉛筆にも使われる黒鉛、炭素の層の間に入るリチウムイオン、スマートフォン用電池の関係を表した教育用イメージです。
鉛筆黒鉛の身近な例層の間リチウムイオンが出入り電池電子を外の回路へ流す
充電して蓄えるリチウムイオンが移動電子が外の回路を流れる画面やチップが動く

リチウムイオン電池が携帯機器に向く理由の一つは、軽く小さい体積に多くのエネルギーを蓄えられることです。一方で、大きなエネルギーが入っているからこそ、穴を開ける、曲げる、熱する、分解するのは危険です。

絶対にしないこと:スマートフォンや電池を開ける、釘や金属を刺す、水に入れる、加熱する、膨らんだ電池を押すこと。異常な熱、におい、膨らみがあれば使用・充電を止め、保護者がメーカーや販売店へ相談してください。

銅・金・アルミは、同じ金属でも役割が違う

銅は「電気の道路」

銅は電気をよく通し、細い配線に加工できます。基板では、電池からの電力やチップ同士の信号を運びます。

金は「さびにくい接点」

金は電気を通し、表面が変化しにくい性質があります。わずかな量でも、確実に触れ続けたい接点などに役立ちます。

アルミは「軽い骨組み」

アルミニウムは軽く、形を作りやすい金属です。筐体などに採用される機種があります。

タングステンは「小さくても重い」

USGSは携帯端末で振動に関わる重りなどの用途を紹介しています。密度が大きいため、小さな体積に重さを持たせられます。実際の振動機構は機種ごとに異なります。

つまり、「金属だから使う」のではありません。電気を通す、さびにくい、軽い、重いという正反対の性質さえ、置く場所を変えればすべて役に立ちます。

磁石と電気で、音が生まれる

スピーカーでは、コイルに流す電流を細かく変えると、磁石との間に生まれる力の向きや大きさが変わります。その力で薄い膜が前後に動き、空気を押したり引いたりします。空気の振動が耳まで届くと、私たちは音として感じます。

音の電気信号コイルの電流が変化磁石との力で膜が動く空気が振動して音になる

小さなスマホから声も音楽も出るのは、一つの音を保存しているからではありません。1秒の間に何度も電流を変え、空気の揺れを作り直しているのです。

カメラは「光の地図」を電気に変える

カメラのレンズは、広がる光を曲げてセンサーの上に像を結びます。センサーには小さな受光部がたくさん並び、届いた光を電気信号へ変えます。その後、チップが明るさや色を計算して写真にします。

物体から光が届くレンズが光を曲げるセンサーが電気へ変換チップが画像を作る

暗い場所でざらつきやすいのは、届く光が少なく、信号と偶然のばらつきを区別しにくくなるからです。カメラの性能は画素数だけでなく、レンズ、センサーの大きさ、計算処理も関係します。

一台のスマホの中に、世界地図が入っている

スマートフォンに必要な鉱物は、一つの国、一つの鉱山からそろうわけではありません。USGSの資料は、リチウム、コバルト、黒鉛、銅、希土類元素などが世界各地で採掘・生産されることを示しています。材料は鉱山から精錬、部品工場、組立工場へ移動し、私たちの手元に届きます。

  • 理科:物質の性質、電気、磁石、光、音、化学変化
  • 社会:資源、貿易、工業、輸送、働く人、環境
  • 算数:薄さ、重さ、割合、座標、データ量

たとえばAppleは現行製品の環境情報で、再生アルミニウム、再生コバルト、再生リチウムなどの使用割合を公開しています。これは一社・一製品の例ですが、スマホの科学が、資源を何度も使う循環型のものづくりへつながっていることが分かります。

分解せずにできる、3つの親子観察

スマホの内部は危険なので開けません。外から「予想→試す→結果→理由」の順に観察します。端末を落とさないよう、机の上で保護者と行ってください。

観察1|指・普通の手袋・タッチ対応手袋を比べる

予想:どれが反応するでしょう。

方法:画面を清潔にし、同じアイコンを軽く触れます。金属、ぬれた物、鉛筆は画面に当てません。

考える:反応の差は、指と電極の間で起きる電気的な変化の大きさと関係します。

観察2|スピーカーの近くで、ケースの震えを感じる

予想:低い音と高い音で、指に伝わる感じは同じでしょうか。

方法:小さな音量で音を流し、外側のケースへ軽く指を当てます。耳へ近づけすぎず、穴へ物を入れません。

考える:音は空気だけでなく、端末の材料にも振動として伝わります。

観察3|暗い所と明るい所で同じ物を撮る

予想:色、輪郭、ざらつきはどう変わるでしょう。

方法:動かない同じ物を、部屋の明るさだけ変えて撮ります。フラッシュを人や動物の目へ向けません。

考える:センサーに届く光の量が変わると、画像を作る計算にも違いが出ます。

使い終わったスマホは「小さな資源の箱」

銅、金、コバルト、リチウムなどを新しく掘り続けるだけでなく、使い終わった機器から回収して次の製品へ戻すことも大切です。環境省は小型家電リサイクルの学習資料を公開しています。

ただし、家庭ごみや通常の資源回収へ自己判断で入れるのは避けます。特にリチウムイオン電池は、押しつぶされたり端子が触れたりすると発熱・発火の危険があります。自治体、携帯電話会社、販売店の案内に従ってください。

今日やること

家にある古い端末を分解する代わりに、現在使っているスマホを見ながら「透明にしたい場所」「電気を通したい場所」「軽くしたい場所」を親子で一つずつ探してください。材料名を暗記するより、必要な性質から材料を選ぶ方が科学者・技術者の見方に近づきます。

次に読むなら、この3本

よくある質問

スマートフォンは本当に砂からできているのですか?

一部は「砂に多い石英と同じケイ素を含む原料につながる」という意味です。原料を精製・加工して、ガラスや高純度シリコンにします。海岸の砂をそのままスマホへ入れるわけではありません。

鉛筆の芯を電池に入れれば充電できますか?

できません。鉛筆芯には黒鉛だけでなく粘土などが含まれ、電池用材料とは純度、粒の形、表面処理、組み立て方が違います。電池の自作・分解は危険なので行いません。

画面に塩を付けると強くなりますか?

なりません。化学強化は、製造工場で温度と時間を管理して行うイオン交換です。家庭で塩を塗ったり温めたりしてはいけません。

なぜ指には反応して、普通のペンには反応しないのですか?

多くの画面は、指が近づいたときの静電容量の変化を検出します。普通のプラスチック製ペンでは変化が小さいため、反応しにくいからです。専用スタイラスは変化が伝わるよう作られています。

古いスマホは燃えないごみに出してよいですか?

自治体のルールによりますが、一般ごみへ自己判断で出さず、自治体、販売店、携帯電話会社の回収案内を確認してください。電池の損傷は火災につながるおそれがあります。

出典・確認した公式情報

以下は2026年9月22日に確認しました。機種・世代により材料と構造は異なるため、個別製品の仕様はメーカー公式情報をご確認ください。


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